腸は第二の脳! 腸の乱れは不調の始まり?!

 腸には脳の次に神経細胞が集まっている為、第2の脳と言われています。

 腸は綿密に脳と連絡を取り合っている一方で、食物の消化・吸収や免疫など、独自で決断して各部所に必要な信号を送ったりしています。消化・吸収に必要なホルモンの分泌をさせたり、食べた物などが身体に害のある物であれば、ただちに分解や排泄が出来るように必要な器官に指令を出します。

 

 以上のことから、腸は「考える器官」だとも言われています。

 

 

<脳と腸はどちらが大切?>

 脳がなければ人間として生きていけない……

 腸がなければ生物として生きていけない……

 

 私たちが生きていく上では両方必要なのですが、「生きる」という意味では腸の方が大切です。どうしてかというと、腸が無い生物はいないから! 腸が無い=死、ということですね。

 

 地球に生物が誕生した時に、その生物は腸しかなかったらしいです。脳や他の器官はもっともっと後の時代になってから腸から分化して作られました。このことからも分かるように、脳や心臓が無くても腸があれば生きていける!ということですね。まぁ脳がないと生きている幸せを感じることが出来ないので微妙ですが(*_*; それだけ腸は大切だということです。

 

 現代でも腸管しかない生物は色々といます。(ナマコとか) 食べて消化吸収して排泄して生きている(やっぱり微妙…)

 

 健康で幸せな未来を迎えるために腸も脳も大切にしましょう!

 

腸内フローラを整えよう!

 私達の腸の中には多種多様な細菌が住み着いていて、その数は数百種類、数百兆個だと言われています。これらの腸内細菌は合わせると1~1.5kgもあるそうです。自分の体重の内、1~1.5kgが腸内細菌の重さだなんてビックリしますよね。この沢山の細胞群を顕微鏡で覗いてみると、「お花畑」に見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。 

腸内細菌(腸内フローラ)のバランス

 腸内細菌は大きく分けて

  1. 善玉菌(消化・吸収を促進し、免疫力を高めるといった有益な働きをするもの)
  2. 悪玉菌(消化物に作用して有害物質を生み出し、排泄のリズムを乱すなどの有害な働きをするもの)
  3. 日和見菌(ひよりみきん/善玉菌にも悪玉菌にも当てはまらない、どちらにもなりうる菌)
 この3つに分類され、善玉菌20%,悪玉菌10%,日和見菌70%が理想とされています。
 腸内環境が整っていると、全身の細胞にアミノ酸やブドウ糖などの栄養素が届けられ、代謝もよくなり免疫力もアップして、心と身体を健康に保つことが出来ます。
 

<日和見菌とは?>

 日和見菌とは善玉菌でも悪玉菌でもない菌ですが、善玉菌にも悪玉菌にもなりうる菌です。

 どういうことかというと、日和見菌は力が強くなった菌(善玉、もしくは悪玉)に味方してついてしまう「やっかいな菌」なのです。

 腸内細胞のバランスが崩れた場合、日和見菌が活発に動きだして、どちらか一方(優勢な方)が増えてしまうため、更にバランスが悪くなってしまいます。

 

腸内細菌のバランスが崩れたらどうなるの?

 腸内細菌のバランスが崩れる原因として、食生活の乱れや自律神経の乱れ、疲れ、ストレス、加齢などが挙げられます。腸内細菌のバランスが崩れると

 
  • 消化吸収力の低下
  • イライラしたりストレスが溜まりやすくなる
  • 自律神経の乱れの原因に
  • 疲れやすくなったり、疲れがとれにくくなる
  • 冷え症
  • アレルギーになりやすくなる
  • 体臭
  • 高血圧
  • 免疫力の低下
  • 肌荒れや肌の老化
  • むくみやすくなる
  • 便秘や下痢
  • 肩こりや腰痛
  • お腹が張る
  • 頭痛やめまい

 など、様々な症状を引き起こしてしまう可能性があり、重大な病気に繋がってしまうこともあります。(生活習慣病、ガン、心臓病、うつ病 他)

胃腸の働きが低下   セロトニンの合成が減少   身体がリラックス出来ない
       
善玉菌が減少し、悪玉菌が増加  

イライラ・不安・不眠

痛みの増強

  疲れやすい、疲れがとれない
  • 善玉菌が減ると免疫力が低下(免疫細胞の70%が腸にいる)
  • 悪玉菌は有害物質を作る(排泄できない毒素は体内を循環)
  • 悪玉菌が増えると生活習慣病,老化,大腸がん,動脈硬化,肌荒れ,疲労,肥満などの原因に!
  • 悪玉菌が原因で発生する有害物質(アンモニア・スカトール・硫化水素 他)は臭いの原因に!
    • 肛門 → おなら
    • 皮膚 → 体臭
    • 肺  → 口臭
 

<悪玉菌は悪者?>

 悪玉菌は有毒なガスを生成したり、便を腐敗させたり、腸内に炎症を起こしたりと、身体に有害な効果をもたらします。ですが善玉菌は悪玉菌を相手に戦いのトレーニングすることで強化されるので、強い善玉菌を作るには悪玉菌は必要な存在です。悪玉菌を無くして善玉菌だけをどんどん増やしても、弱い善玉菌が増えてしまうだけなので意味がありません。

 

 要は善玉・悪玉のバランスを良く保っていくことが大切だということですね。

 
 

<腸管免疫系>(食品などの安全な物質を身体に吸収する為の最大の免疫系)

 腸管とは口腔から肛門までの管状の器官のことで、腸管免疫系とは小腸や大腸に備わっている免疫システムのことです。

 外から入ってきた食物や細菌、ウィルス、寄生虫、化学物質、毒などを識別して、吸収するか排除するかの決定をして必要な作業を始めます。腸管免疫が上手く働かないと、十分に栄養が吸収できなかったり、排除しなければいけない物を取り込んでしまったり、異物ではないのに異物だと勘違いしたりしてしまい、結果、アレルギーや病気の原因になってしまったりします。

 

 腸管免疫の発達や働きを維持する為に腸内細菌が重要な役割を果たしていると言われていますので、腸内細菌のバランスを整えることは免疫力に対しても大切なことだと言えるでしょう。

 

 

腸にも「セロトニン」?

 ご存じの方も多いと思いますがセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる脳内で働く神経伝達物質のひとつで、精神バランスを良好に保つために必要なホルモンです。脳に2%,血液中に8%,腸に90%のセロトニンがあると言われています。(全部で10mgくらい?) 脳内のセロトニンには精神を安定させ安らぎや幸福感をもたらしてくれたり、免疫力の促進、体温調節、姿勢を良くしてくれたりします。

 

 脳内の2%でそんなに良いことがあるなら、腸内の90%はもっと良い作用があるのでは?と思われるかもしれませんが……腸内のセロトニンは脳内セロトニンとは少し別の働きをします。

 

 腸内のセロトニンは主に腸のぜん動運動に作用する為、過剰になりすぎると下痢を起こし、不足すると便秘になってしまいます。働きとしては別々の作用があるわけですが、脳のセロトニンの生成には腸が影響していて、腸のセロトニン生成には脳が影響を与えていることが分かっており、全くの別物というわけではありません。

 

 例えばストレスによって脳が刺激を受けると、その信号が腸へ送られセロトニンが分泌されます。それによってセロトニンが過剰になり、腹痛や下痢などをおこしてしまいます。腸での食物の消化吸収によって、セロトニン生成の材料となるトリプトファンなどが取り込まれると、脳内のセロトニンが作られます。

 

 脳内のセロトニンを増やす為にも、腸が健康でないといけない、ということですね。

 

<脳内セロトニンを増やすには?>

  • 日光を浴びる
  • 睡眠をしっかり取る
  • よく噛んで食べる
  • 腸内フローラを整える
  
  • 自律神経を整える
  • マッサージ
  • ウォーキング
  • カフェインをさける
         などが効果的です。
 
 

<セロトニンが不足すると不眠症になる?>

 質の良い睡眠をとるには「メラトニン」というホルモンが必要になります。このメラトニンを作る材料になるのがセロトニンなので、セロトニン不足になるとメラトニンの生成が出来ず、不眠になる可能性があります。
 メラトニンは体内時計の調整をしたり、体温や血圧を下げて自然に睡眠に入れる様な作用があります。その他、抗酸化作用(老化防止)や脂質代謝(肥満や高脂血症予防)、抗がん作用などもあるようです。
 他、セロトニンが不足すると成長ホルモンの生成が低下する為、肌が老化する原因にもなってしまいます(肌荒れ,シミ,シワ,たるみ)
腸内環境を整えながら、セロトニンの材料となるトリプトファンを含む食品も摂取するようにしましょう。